MESSAGE
学長メッセージ
拓殖大学は
持続可能な社会の
実現を担う人材を
育成します
地球は今、さまざまな環境問題を抱えています。近年、世界各地で異常気象が頻発するようになり、このまま地球の温暖化が進めば、干ばつや砂漠化が進行し、水不足も深刻になり、農作物が育たず、生物多様性が失われます。2015年、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための目標としてSDGsが定められました。
拓殖大学は、1900年に台湾協会学校として設立され、「積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為の人材の育成」を建学の理念としています。創立20周年には、本学の精神をカタチにした校歌が制定され、その一節には「人種の色と地の境我がたつ前に差別なし」と謳われています。まさにSDGsの目標のひとつである「10.人や国の不平等をなくそう」に通じる精神が歌いつがれてきました。
本学では、2021年に「教育ルネサンス2030」と題する中長期計画を策定しました。この基本戦略の1番目は「全学的なSDGs教育の展開」です。世界的課題であるSDGsをテーマとして、「国際協力」「社会貢献」「人間尊重」の精神を身につけた人材の育成を行っています。その背景には、過去から現代に続く本学の活動にあります。「ボランティア」という言葉も生まれていない戦後間もない頃から、頻発する自然災害を前にいちはやく災害現場にかけつけた拓大生たち。東日本大震災後、ラオスで布を買い付け、宮城県南三陸町のミシン工房で布小物を縫製・販売して復興を支援する活動。長野県鹿教湯温泉、山梨県富士川町、岩手県盛岡市、キャンパス近隣の文京区および八王子市での地域連携など各包括連携協定や大学間連携協定に基付いた数多くの活動。そして海外に目を向けるとモンゴルにおいて餅文化を推奨するプロジェクト、マレーシアでの海と陸のゴミ問題や貧困問題をとりあげた海外フィールドワークなど、国内はもちろんのことグローバルに社会課題の解決を推進しています。
大学は持続可能な社会の実現を担う人材の育成のため、地域社会、自治体、企業などとの連携・協力することが求められています。SDGsの掲げる持続可能な17の目標は、社会・経済・環境の幅広い範囲に及び人類共通の課題でもあります。地球規模の課題解決に向け、「誰ひとり取り残さない」というスローガンの下、まずは学生、教職員がSDGsを一般社会に広く普及・浸透させ、それぞれの立場で取り組むことが重要と考えます。
2020年度に小学校、2021年度に中学校、そして2022年度には高等学校の学習指導要領が改訂され、「持続可能性」というキーワードが多く登場しています。SDGsをテーマとした教育を通じて、SDGsへの意識付けが本学学生全体にまで浸透し、あわせて課題解決力・実行力を身につけた人間性豊かな人材育成を達成し、社会から求められる大学として認知いただけるよう、これからも積極的にSDGs活動を展開してまいります。
拓殖大学 学長
鈴木昭一